指の体操

趣味のピアノ愛について語る超個人的なブログ

時間差でブーム【追記】

ベートーヴェン3番はようやく本腰を入れ始め、己の体力との闘いで苦戦中です。。

さて、ピアノから話が逸れますがクラシック以外の音楽の話です。

私はクラシックどっぷりの純粋培養ではなく様々な音楽を聴いて育ってきたので、たまに流行りの歌はチェックしていて、いま世の中からはウン十周回遅れぐらいで米津玄師のLemonにはまり中。

子供が保育園で覚えてきたパプリカのご本人バージョンのニュースを見て、ふとLemon。。と思い出したのがきっかけ。移動中にもyoutubeヘビーローテーションしているくらいなので、今の気持ちだけ残そうと思い書いています 歳のせいか感動したことも綺麗さっぱり忘れたりするので 笑

去年の紅白で中継を見て、歌そのものと演出に衝撃を受け、でもその後少し距離を置いてみてました。

「世代」のファンの人から比べればもう十分すぎるくらいいい歳なので、ひたすら悲しい歌詞の曲は自分の過去のさまざまな体験と重なりすぎ、身につまされすぎで平常心を保っていられず、最後まで聴く体力気力がもたない。。そんなこんなで最近は聴いてぐったりする位なら悲しい歌からは離れていたいと思ってしまいがちなのですが、この曲はそんな私の心のハードルを軽々越えてきました。

聴く人が包み込まれるような歌という制作側のオーダーとそれに応えようとした作者の想いどおり、最後に喪失感から救われるような歌詞と、クセのある美声に耳を傾けられずにはいられない。死というワードを直接出すことなく世界観を描きだす言葉の選び方も秀逸。

フルコーラス聴いたのは紅白が初めてだったのですが、涙堪えるのが大変な歌詞、美しい美術館の映像(この歌に最後の審判をもってくるとは・・胸に迫りすぎて苦しい)、賛否両論だったらしい迫力ありすぎのダンス(只者ではないことはすぐ分かったけれど 高度すぎて、、この人は誰?)、無数のキャンドルの光、それらが頭のなかで処理しきれず軽くパニック、が直後の感想。放心状態でした。

主題歌となったドラマのこともあまりよく知らなかったので、後付けで色々調べました。人の死をテーマにした作品であること、恋愛も絡んでいること(だから「恋をしていた」のくだりが歌詞に入るのか)、など ドラマそのものは見たら気が滅入ってその後の生活にダメージ大きすぎると思いストーリーだけ読んで。

それら諸々を踏まえてもう一度映像を見て、涙が止まりませんでした。彷徨う死者の魂、愛する人を失った者の感情の爆発、鎮魂、慰め、救い 全てが数分の間で表現されていると思いました。歌番組で感動したのは初めてかもしれません。歌が素晴らしかったのは勿論ですが、制作側の本気を見た気がしました。

月並みですが「今でもあなたはわたしの光」という歌詞が一番好きです。失った人との一番輝いている記憶を自分の生きる力にできる気がします。

多分これからも聴き続けていく曲のひとつになるだろうと思います。というか、いつかこっそり一人カラオケで熱唱してみたい。

【追記】物議を醸している「ウェッ」(人の声のサンプリング)、それ自体は昔TM Networkを聴いてた時の慣れもあり、意外とすんなり受け入れたのですが、悲しい歌の合間に入ると一瞬何だろうと思いますよね。我に返らされる感じ。ただ悲しみ一辺倒ではなく少しドライさが入ってくるような編曲、個人的には嫌いではありません。逆にそうでなかったら気持ちが重くなりすぎて聴いていられないかも。

作者はこれ抜きはありえないと言っているそうで、だとすると、単にセンスという話以外に考えられるのは。。

死、失った悲しみがテーマだとすれば、悲しんでいる「わたし」の言葉にならない思い、今はいない「あなた」の声にならない(魂の)叫びをノイズのように表現したのかな、と個人的には感じました。解釈は人それぞれなので、いろいろな考え方があるかとは思いますが。。

米津玄師さん、作品の振れ幅といい、絵の才能といい(Lemonも含めジャケットは殆ど自分で描いているとのこと)、久しぶりに化け物みたいな人が出てきたなとうれしい驚きを感じています。これからの活躍が楽しみです。